遺言の種類
1.普通方式
@自筆証書遺言
遺言者が全文を自分で自筆、署名、押印して作成し、自ら保管します。紙とペンがあればいつでも作成でき、内容を秘密にできたり、費用がかからない等のメリットがあります。しかし、様式不備でせっかくの遺言が無効になったり、紛失、隠匿、偽造の恐れがあります。
A公正証書遺言
遺言者の意思に基づいて公証人が遺言書を作成し、原本を公証役場に保管します。様式不備の恐れがなく、紛失や偽造などの恐れがないのがメリットです。最もお勧めの遺言方式です。
B秘密証書遺言
自筆証書遺言と公正証書遺言との中間的な方式です。手間がかかるわりにメリットがあまりないので、実際は殆ど利用されることはありませんが、内容を秘密にすることができます。
2.特別方式
@一般臨終遺言
一般危急遺言(一般臨終遺言)とは、病気や事故で死期が近づいた時に作成 する遺言です。
A船舶遭難者遺言
船舶遭難者遺言とは、船舶が遭難したときに、その船舶中にあって死亡の危急に迫った者が、一定の要件のもとに口頭ですることのできる遺言です。証人2人以上の立会いにより、口頭で遺言することができます。
B伝染病隔絶者遺言
伝染病のために行政処分によって、交通を断たれた場所にいる人のための遺言です。
C在船者遺言
船舶中にある人ができる遺言です。船舶は、海洋を航行する船舶い限られますが、航海中か停泊中かは問われません。一般隔絶地遺言と同じ、簡易方式となっています。
遺言が無効になる場合
遺言は決められた方式で書かれていなければ無効です。例えばこのような場合です。
@ビデオやテープレコーダーによる遺言
A共同でする遺言
B詐欺・強迫により書かれた遺言
遺言書が見つかったら
遺言書の検認
公正証書遺言以外の遺言の場合には遺言書の保管者又は遺言を発見した相続人は、相続の開始を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出してその検認を受けなければなりません。
検認を経ないで封印された遺言書を家庭裁判所以外で開封すると5万円以下の過料に処されます。
ただし、検認を経ないで開封したとしても、これによって直ちにその遺言書の効力が失われるものではありません。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書の内容を具体的に実現する人をいいます。遺言書に書かれている
内容・趣旨にそって、相続人全体の代理人として財産を管理し名義変更などの各種の手続を
行います。
遺言執行者は、遺言で指定されている場合と、家庭裁判所により選任される場合とがあります。
民法1010条
遺言執行者がないとき、またはなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によっ
てこれを選任することができる
・遺言執行者がないとき・・・@指定または指定の委託がない、A指定された者が就職
を拒絶している場合など。
・遺言執行者がなくなったとき・・・遺言執行者につき死亡、解任、辞任、資格喪失など
の事由が生じた場合。
なお、申し立てには、遺言執行者の候補者を推薦しておきます。
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