尊厳死宣言公正証書

最近、終活という言葉をよく聞きます。

書店でもエンディングノートや遺言作成キットなどが販売され関心のある方も多い様ですね。

 

当事務所でも、自筆証書遺言よりも更に厳格な公正証書遺言の作成を希望されるお客様が増えています。

 

お客様が作ってこられる遺言書の草案を拝見していると、遺産の処分方法の記載が中心なのですが、「尊厳死」に関する希望が書かれていることも多いです。不治の病に冒されたとき、最新の医療行為によってただ死期を先延ばしするだけの延命治療は望まず、自分らしく最期を迎えたい。といういわゆる尊厳死宣言の記載です。

 

尊厳死宣言を公正証書にする場合、生きている内に効力を発揮する書面なので、死後の手続きを記載した公正証書遺言の中にではなく、別の書面で作成されることになります。

ところが、現在の日本の法律では、この宣言書には法的な効力は認められていません。まだまだこれから議論されなければならない問題というのが現状のようです。

 

そのため尊厳死宣言公正証書を作成しても、自分の意に逆らう延命治療が絶対に行われないとは限りません。しかしこの書面があることで、万が一のときに医師と家族に明確に自分の意思を伝える事ができるのも事実です。

 

尊厳死を希望される方には、様々な考え方や事情や想いがあります。ただ出来るなら遺言書を作ること、それと同時にご家族や大切な方にご自分の意思を伝えておくことも「自分らしい最期」を迎えるために有効な手立てなのではないでしょうか。